晩秋の勝沼、葡萄畑の紅葉と新酒のワイン ニュー

晩秋の頃、実りを終えた山梨県勝沼に広がる葡萄畑は、やや暖かな日の光を浴びながらも、冷たい風が吹き付け、赤色や黄色に色づいた葉をカサカサと揺らしています。
勝沼では、毎年11月3日に新酒のワインが解禁されます。
解禁されると、今年収穫された葡萄を使い醸造された新酒のワインを一般の人たちが口にすることができるようになります。
解禁日は文化の日で祝日であることから、勝沼ぶどうの丘で「かつぬま新酒ワインまつり」が開催され、ワイナリー巡りをせずとも数々のワイナリーが集まり新酒ワインの有料試飲や即売などが行われることから、県外からもたくさんの人が引き寄せられ、祝い賑わう一日となります。
しかしながら、勝沼を訪れたのは解禁日から幾日も過ぎた平日ということもあり、祝い賑わったであろう祭りの余韻はもうなく、あたりの赤色や黄色に紅葉している葡萄畑が広がる道筋で出会う人はそれほど多くありません。
それでも、葡萄畑が紅葉する、この哀愁のある風景が広がる時季が新酒のワインに出会える合図なのは間違いありません。

さっそく、いくつかのワイナリーを巡ったところ、当たり年だった2023年に匹敵するほどだとも、これまでで最高の手応えを感じるとも、今年のワインは上々の出来に仕上がったと言い切れるほどの自信を各ワイナリーで伺えたので、とても嬉しくなります。
世界の名だたるワインの産地と比較して、降水量が多く一日の気温差が小さい日本においては、ワインに適した葡萄が育つ環境として難しさがあると言います。
そのような事情がある中で、天候が良く特に雨が少なかった今夏、味だけではなく見た目でも価値が決められてしまう生食用の葡萄にとっては十分な玉張りにならないなど苦労が大きかった分、猛暑によって収量が減りはしたが、糖度が高く酸も適度に残った良質なワインが生まれる可能性を秘めたワイン用の葡萄が実ったと教えてくれました。

あるワイナリーに併設されているテラスからは、誰もが目を奪われる勝沼を囲む山々と葡萄畑が紅葉した美しい情景を眺めることができます。
そのテラスでは、数人の愛好家が一つのテーブルに着いて、新酒だけではないであろう赤や白のワインが注がれた小さなカップを並べ、それぞれを飲み比べながら談笑しています。
理想的な場でワインを楽しむ一行の姿は、有意義なひと時を過ごしているようで、羨ましく感じます。
なんだかワインを飲んだかのように気分が良くなって、あらためて葡萄畑を見て回ってみると、猛暑に耐え全力を出し切って役割を終えた葡萄畑の葉は、晩秋の柔らかな日の光を浴びて紅玉色や黄金色に輝いており、熟成した赤と白のワインのような美しい色調で魅せてくれています。
これらの葡萄畑で生み出された新酒のワインが、どのような香りを放ち、どのような味わいになったのか、今晩グラスに注いだ最初の一杯が楽しみで心が躍ります。
そして、若い新酒のワインとしてだけではなく、2025年のワインが時を経て熟成したワインとなる未来もまた、これからの楽しみです。
晩秋ともなると、日が暮れるのが早く、あっという間に勝沼のあたり一帯が赤く染まってきます。
今年最後の勝沼の姿を目に焼き付け、来年また訪れる日まで、しばらくのお別れです。
