“ 往来をぶらぶら一人歩いてゐる ”
在りし日のミャウー はじめに
2017年3月に訪れた古都ミャウー(ミャンマー・ラカイン州)の記録を書けずにいました。
印象深い旅でしたが、自分が伝えられるものは情勢に対して呑気すぎると感じ、筆が進みませんでした。一方で遺跡の美しさ、港町シットウェの喧騒、人々の暖かさを忘れることもありませんでした。
やっと見つけたきっかけは「ミャウー朝アラカン王国では宗教間・民族間は融和的だった」という話です。あの遺跡の美しさが在りし日に重なるなら、そう感じた旅も前向きにとらえられるでしょうか。
2017年3月以降、いわゆるロヒンギャ問題の激化に加えて対立するアラカン族の武装勢力も国軍との戦闘状態に入ったことで情勢は複雑化しています。ミャウー周辺も戦場となり、遺跡も被害を受けたそうです。
在りし日のミャウーの姿が伝わること、いつかまた旅できる日が来ることを願って、些末ながら記録を書くことにします。
写真・文 / こんだ まさふみ